変化を実現する道筋
私たちが目指すこと
提案に記したとおり、私たちが目指しているのは、安全に、民主的な統制のもとで開発する方法が分かるまで、最先端AIの開発を世界全体で停止することです。
このページでは、その実現に向けた計画を説明します。
私たちが埋める隔たり
AIガバナンスに関する優れた政策案は、すでに存在します。AIに対する市民の懸念も大きく、さらに高まっています。しかし、懸念が自動的に政治的な行動になるわけではありません。方向が定まらないままだと、散り散りになったり、最先端AIのリスクに対処しない運動へ吸収されたりします。
欠けているのは、高まる市民の懸念を政治的圧力に変え、すでに提案されているガバナンスの仕組みを政治的に実現可能にする、組織された支持基盤です。PauseAI Globalは、その支持基盤をつくります。具体的な政策案を設計する専門的な政策団体に対し、私たちはその採用を要求する運動を育てることで補完します。実施可能な政策の枠組みと、行動することを政治的な利点に変える民主的な支持。この両方をそろえ、意思決定者が行動するために必要なものをすべて届けることを目指します。
人々が実際に行動を起こす仕組み
有能な団体がAIリスクを伝えていますが、認識が高まるだけでは政治的な行動は生まれません。社会運動の研究によれば、行動の変化にはコミュニティからの後押しが必要です。人は記事を読むからではなく、仲間が行動を起こすときに、自分も動き始めます。
PauseAIは、その行動を引き出す役割を担います。地域のチームをつくり、自分のコミュニティで次の担い手を育てるオーガナイザーを養成します。これは、連鎖することで拡大していくよう設計されたモデルです。PauseConでは、人々が活動を組織する技能を身に付けます。抗議活動は、懸念を抱く段階から本気で取り組む段階へと踏み出すエネルギーを与えます。連盟という形態によって、各国の支部がこの方法を独立して再現できます。
この連鎖を始めるには、二つの条件が必要です。
- 人々が状況の深刻さを理解すること。 AGIの開発競争は、自分や家族に壊滅的なリスク、そして存亡リスクをもたらすということです。
- 行動は可能だと信じること。 一時停止は空想ではなく、実現できると考えることです。
二つ目は、一つ目と同じくらい重要です。希望がなければ、運動ではなく絶望と無力感が生まれます。だから私たちは、「最先端AI開発の国際的な一時停止」という、具体的で人々を結び付ける要求を軸に活動します。行動を起こせるだけの具体性があり、異なる懸念を持つ人々を結び付ける幅広さがあり、将来の選択肢を多く残すように設計されています。これは、私たちが直面する最大の障害、すなわち「AI開発は止められない」という、広く信じられ、その信念自体が現実をつくってしまう考えに、正面から対抗します。
だからこそ、私たちの発信では、リスクの深刻さと具体的な行動の呼びかけを必ず組み合わせます。参加してください、議員に連絡してください、この提案を支持してください。人々に不安だけを与え、対処の道を示さずに終わることはありません。
一時停止の実現に必要なこと
最先端AI開発の一時停止は、国際的な合意です。この種の国際合意には、五つの条件が同時に満たされる必要があります。
- 複数の主要国政府に、合意から離反することが割に合わなくなるほどの政治的意思があること。
- 実行に移せる技術とガバナンスの枠組みがあること。
- 政治的な惰性を打ち破れる契機となる機会があること。その機会は、ほぼ間違いなく何らかの出来事によって生まれます。
- 一時停止が責任ある立場だという有力者・専門家層の合意があり、業界を専門的立場から擁護する人々と、商業的利益から擁護する人々とが分かれること。
- 署名する指導者にとって、政治的な損失より利益が大きくなるほど、市民の支持がはっきり見えること。
PauseAI Globalが主に担うのは、1、3、5の条件です。複数の国・地域にまたがる市民の支持を連携して築き、危険を知らせる出来事が生む機会を政治的な推進力に変えられる体制を整え、行動しようとする政府にとって署名が政治的に有利になる状況をつくります。
2と4の条件を担うのは、MIRI、FLI、ControlAIのような政策団体です。彼らが政策案を練り、意思決定者に説明し、専門家の合意を築く一方で、私たちは提案が採用されるための政治的条件をつくります。
PauseAIだけで一時停止を実現することはできません。ほかの条件が整ったときに一時停止を可能にする土台を、PauseAI Globalは築けます。
なぜ連盟なのか
市民の支持を条約につなげる仕組みとして、三つの可能性があります。
- 条約交渉を招集する国。 国際的な交渉を呼びかける外交的な立場を持つ国です。ブレッチリーでの実績を考えると、英国が最も有力です。
- 先行例の連鎖。 ある国・地域が最先端AIに意味のある制限を導入し、その先例によってほかの国・地域も対応を迫られることです。
- 複数の国・地域での同時の圧力。 複数の主要国で国内の圧力を同時に、連携して高め、国際合意がもたらす政治経済上の利点を、各国にとって同時に有利なものにすることです。
連盟モデルは、持続的な成果を生む可能性が最も高いと私たちが考える、三つ目の仕組みを軸に設計しています。単一の国の組織は、どれほど有能でも、複数の国・地域に同時に圧力をかけることはできません。共通の日程、メッセージ、基盤を使って連携したキャンペーンを行う、国別支部の連合なら可能です。
これが、私たちの方法を一国単位の働きかけと区別する、組織構造上の具体的な考え方です。今整備している連盟憲章、共通の研修体制、連携したロビー活動のツール、迅速な対応の手順が、これを大規模に繰り返し実行することを可能にします。
なぜ今なのか
最先端AIの研究所は、すでに自社のモデルを使って次世代のモデルを開発しています。再帰的自己改良が今後12か月以内に重大な閾値を越えるかもしれないと考える、信頼に足る理由もあります。AIによる経済の混乱は加速し、市民の不安は急速に高まっています。
そのエネルギーを受け止める、規律があり壊滅的リスクに焦点を絞った運動が準備できていなければ、エネルギーは散逸するか、まとまりのない反発に向かいます。現在、その隔たりを埋める立場にある世界規模の草の根組織は、私たちだけです。大きな混乱が起きた後ではなく、その前に基盤を整える必要があります。私たちは今、雇用市場の変貌に直面する学生、仕事を失うおそれのある労働者、民主主義を守ろうとする人々など、影響を受けるコミュニティのなかで活動しています。関係と信頼を築き、混乱が激しくなったときにはすでに信頼される存在となり、進行する出来事を政治的な推進力に変えられる組織能力を持つためです。
私たちがすること
活動には三つの役割があります。新しい層に届くこと、その人々が同じ方法を広める担い手として行動を起こすようにすること、そして生まれた支持基盤を政治的圧力に変えることです。
オーガナイザーを育成する。 PauseConは、能力を育てる主要な手段です。2026年2月のPauseCon Brusselsでは、15か国から約80人の担い手が参加し、リーダーシップ、キャンペーン戦略、コミュニケーションを学びました。参加者はすでに、新支部の設立、議員との面談の確保、キャンペーンの実施などを独自に進めています。PauseConは年2回開催します。それぞれで養成された人々が、地域で運動を育てる力を身に付けて自国へ戻ります。
連盟を拡大する。 各国の支部に、活動の実践手引き、資金調達の指針、連携したロビー活動のツール、新支部向けの初期資金など、標準化された支援基盤を提供します。段階別モデル(地域グループ→支部→独立法人)によって成熟度に応じた支援を行う一方、妥協できない基準(中核的価値観、使命、基本方針、メッセージの指針、行動規範)によって、ブランドと運動の一貫性を守ります。
連携したキャンペーンを実施する。 共通のテーマと日程に沿って、すべての支部が四半期ごとにキャンペーンを行います。各キャンペーンは、何が響き、どのコミュニティが行動し、何が政治的圧力になるかを試す戦略的な実験です。結果を次の取り組みに生かします。2026年2月のインド・サミットに向けたキャンペーンでは、14か国の議員らに宛てて約2,000通のメールが送られ、4,000人を超える署名が集まりました。同時に、連盟を大規模に調整する能力を試す機会にもなりました。
連合を築く。 提携には二種類あります。運動を広げるための連合では、学生組合、労働組合、保護者団体、民主主義や権利を守る団体など、すでにAIの影響を受けるコミュニティとつながります。MIRIやControlAIなどとの政策上の提携では、厳密でよく練られた提案を推進できるようにし、詳しい説明を受けたい政治家を紹介できる先を確保します。
政治的圧力をかける。 15か国以上で、ボランティアの関与の程度に応じた草の根の働きかけを行います。連携用のロビー活動ツールを使えば、誰でも1分以内に自分に合ったメッセージを議員へ送れます。より深く関わるボランティアは、地元議員との対面の面談を目指します。幹部職員は影響力のある相手との面談を進め、詳しい説明のために信頼できる政策上の協力先へつなぎます。政治家やメディアに支持基盤の大きさを示すため、世界で連携した抗議活動を毎年少なくとも2回行います。
社会から見える存在であり続ける。 CEOのメディア出演、会議での登壇、記事、プレスリリース、動画、継続的なソーシャルメディア発信を通じ、PauseAIがAGIを懸念する市民の声として認識されるようにします。危険を知らせる出来事が起きたときに活動を開始する手順により、数週間ではなく数時間のうちに、進行中の出来事を政治的な機会へ変えます。
私たちがしないこと
暴力や暴力的な言辞は容認しません。 私たちは平和的な運動であり、抗議活動参加者の行動規範、Discordのルール、ボランティア合意書でこれを明確にしています。私たちは正しいことをしようとしており、市民に味方でいてほしいのです。
関係のない問題で立場を取りません。 AIの一時停止に集中する運動です。短期的な機会が魅力的に見えても、活動範囲外の問題で立場を示しません。
不誠実さを避けます。 私たちの発言を信頼してもらう必要があります。自分たちの不確実性や限界についても、正直であることは譲れません。
主な不確実性
いくつかの点でうまくいかない可能性があることを率直に認め、無視せず積極的に対処します。
連盟内の調整。 このモデルは、支部が地域の自律性を保ちながら、共通のキャンペーンやメッセージに足並みをそろえることに依存しています。連盟憲章が構造的な対策であり、それを実際に守れるかは、連携したキャンペーンのたびに試されます。
近接する運動への吸収。 AIに対する市民の懸念は今のところ多様であり、最先端AIのリスクに対処しない見方のもとにまとまる可能性があります。対策は、発信の規律を保ち、最先端AI開発という問題の捉え方を明確に維持することです。
危険を知らせる出来事の判断。 迅速な対応の手順は、どの出来事が活動開始に値するかという判断に依存します。人々に響かない出来事で動けば、オオカミ少年になる危険があります。逆に、響く出来事で動かなければ、機会を逃しかねません。
測定。 メディアでの到達人数、抗議活動の参加者数、署名数など、成果指標のいくつかは、一時停止の実現確率を直接測るものではなく、代理指標です。よりよい測定方法をつくることは、現在の優先課題です。
参加する
毎月、数百人の新しいボランティア希望者が登録しています。制約になっているのは、その人々を育成し、支え、力を発揮してもらうための能力です。
PauseAIに参加し、行動を起こしてください。