非公式日本語訳 — 原著者・発行元による公式の翻訳ではありません

Eliezer Yudkowsky — 非公式日本語訳

短剣の寓話

The Parable of the Dagger

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(レイモンド・スマリヤンの作品をもとに改作。)1

昔々、論理学を少しかじった宮廷道化師がいた。

道化師は王に二つの箱を差し出した。一つ目の箱にはこう書いてあった。

この箱に怒ったカエルが入っているか、偽の文が書かれた箱に怒ったカエルが入っているか、そのどちらか一方だけが成り立つ。

二つ目の箱にはこう書いてあった。

この箱に金が入っていて、偽の文が書かれた箱に怒ったカエルが入っている。あるいは、この箱に怒ったカエルが入っていて、真の文が書かれた箱に金が入っている。

そして道化師は王に言った。「一方の箱には怒ったカエル、もう一方には金が入っています。また、書かれた文のうち真であるものは一つ、ただ一つだけです」

王は間違った箱を開け、怒ったカエルにさんざん襲われた。

「よろしいですか」と道化師は言った。「まず、一つ目の文が真だと仮定しましょう。そのうえで、一つ目の箱に金が入っているとします。すると、もう一方の箱には怒ったカエルが入っていて、真の文が書かれた箱には金が入っていることになりますから、二つ目の文まで真になってしまいます。では今度は、一つ目の文は偽で、一つ目の箱には金が入っていると仮定しましょう。すると二つ目の文は――」

王は、道化師を地下牢へ放り込むよう命じた。

翌日、道化師は鎖につながれて王の前へ引き出され、二つの箱を見せられた。

「一方の箱には鍵が入っている」と王は言った。「お前の鎖を外す鍵だ。鍵を見つければ自由の身にしてやろう。だが、もう一方には短剣が入っている。間違えれば、それでお前の心臓を刺す」

一つ目の箱にはこう書いてあった。

二つの文は両方とも真であるか、両方とも偽である。

二つ目の箱にはこう書いてあった。

この箱には鍵が入っている。

道化師はこう推論した。「一つ目の文が真だとしよう。すると二つ目の文も真でなければならない。では、一つ目の文が偽だとしよう。この場合もやはり、二つ目の文は真でなければならない。つまり、一つ目の文が真でも、偽でも、二つ目の箱に鍵が入っていなければならない。したがって論理上、二つ目の箱には必ず鍵が入っている」

道化師が二つ目の箱を開けると、そこには短剣があった。

「どうしてだ!?」引きずられていく道化師は、恐怖にかられて叫んだ。「論理的にありえない!」

「十分ありうるとも」と王は答えた。「私はただ二つの箱にその文を書き、それから二つ目の箱に短剣を入れただけだ」

レイモンド・M・スマリヤン著、この本の名は?――ドラキュラの謎とその他の論理パズル(Penguin Books、1990年)。 ↩︎