❦
マーカス・アインフェルド判事、70歳。1977年から勅選弁護士、1997年には「オーストラリアの生きた国宝」に選ばれ、2002年には国連平和賞を受賞。オーストラリア人権・機会均等委員会の初代委員長を務め、数年前に退官した後も、重要事件を裁くためたびたび呼び戻されていた……。
その彼が、時速6マイルの速度超過による36ポンドの違反切符を発端とする一連の偽証と嘘で、2年間刑務所に入ることになった。
正直な人は嘘がうまくない、互いに絡み合う痕跡がどこかに残る、そしてブラック・スワン的な大失敗ですべてが吹き飛ぶ――そんな、いかにも道徳的で、かえってうさんくさく聞こえる理論にも、現実に当てはまる例は、確かにいくつかある。もちろん、この一件が私たちの耳に入るまでには、報道の明らかな選択バイアスが働いているのだけれど。