Visible Thoughts Projectへようこそ! このページでは、プロジェクトの基本を説明します。
更新(2023年10月12日):本日をもって、Visible Thoughts Projectの新規執筆者の募集を停止します。この日以降の提出物は受け付けません。
更新(2023年5月31日):本日をもって、Visible Thoughts Projectは終了しました。
概要
機械知能研究所(MIRI)は、人間にとってより理解しやすいAIシステムを訓練するためのデータセットをつくっています。
Visible Thoughts Projectの執筆者として、皆さんに書いていただきたいのはダンジョン探索の物語です。これは、ロールプレイングゲームのプレイヤーと、そのゲームのダンジョンマスター(DM)という2つの役割のやり取りとして語られる物語です。
- ダンジョンマスターの役割は、舞台を考え、筋書きを組み立て、プレイヤーの前に課題を提示することです。
- プレイヤーの役割は、キャラクターを操ることです。DMからさまざまな提示を受けて、そのキャラクターが想像上の世界でどう動き、行動するかをDMに伝えます。
実際にロールプレイングゲームで遊ぶように、別々の執筆者がこの2つの役割を担当しても構いませんし、一人で両方を書いても構いません。
物語はSFでもファンタジーでも日常的なものでもよく、雰囲気も、真面目なものから怖いもの、ばかばかしいものまで自由です。とても面白い物語でも、ごく単純な物語でも、大きな違いはありません。このプロジェクトが本当に注目しているのは、物語そのものではなく、物語がどうつくられるかだからです。
架空のDMの頭の中の考えを、文章にして見せてください。物語の進行に伴うDMの思考を見えるようにし、どんな課題を出すか、プレイヤーの入力をどう解釈して物語に取り込むか、次に何が起こるべきかといった、DMのさまざまな判断の理由を、読者が見て理解できるようにしてほしいのです。
狙いはこうです。DMの思考過程の例を十分に集められれば、GPT-3のような機械学習システムに、物語を語るだけでなく、それがどうつくられたかも説明させられるかもしれません。つまり、一歩一歩進むたびに、どの情報や文脈が関係していたのかを説明させるのです。
ランの仕組み
一つのダンジョン探索を「ラン」と呼びます。各ランは、数百から千の「ステップ」で構成してください。ステップは、DMとプレイヤーのやり取りの1巡で、次の要素からなります。
プロンプト前の思考。 プロンプトをつくるために必要な文脈の検討、発想、計画などを、DMが考える部分です。
プロンプト。 プレイヤーに見せるDMの文章です。物語の中で今何が起きているかを、プレイヤーに伝えます。
プロンプト後の思考。 短い欄で、空欄になることも多くあります。主に、プロンプトの中で新たに生まれた情報のうち、覚えておく、保存しておく価値のあるものを記します。
行動。 プレイヤーが物語へ入力する内容です。コンピュータの前で、テキスト型のビデオゲームに返答を打ち込むようなものです。
行動後の思考。 これも短く、空欄になりがちな欄です。主に、プレイヤーが言いたかったことの不明瞭さや曖昧さについて、DMが考えるために使います。
結果。 プレイヤーの返答を物語の一部としてDMが「言い直し」、物語の流れへ組み込む部分です。
実際にどんなものになるのか、物語の冒頭近くのステップをいくつか見てみましょう。例の物語の舞台は典型的なファンタジー世界で、プレイヤーは若く経験の浅い主人公を演じています。

これが1ステップの例です。順を追って、それぞれの要素を詳しく説明します。

最初の欄、
プロンプト前の思考を拡大しました。DMが物語のこの部分をどう計画しているかが見えます。基本的な注意点をいくつか挙げます。
- 大まかに、思考には2種類あり、ここでは色分けしています。赤色の思考を ドイル的(Doylist) な思考、紫色の思考を ワトソン的(Watsonian) な思考と呼びます。
- より専門的には、物語外的(non-diegetic) な思考と、物語内的(diegetic) な思考ですが、私たちはドイル的・ワトソン的と呼ぶことを好みます。シャーロック・ホームズの実在の作者アーサー・コナン・ドイルと、ホームズの物語を語る架空の人物ジョン・ワトソン博士を思い浮かべてください。
- ホームズの物語で、なぜある出来事が起きたのかを尋ねたら、ドイルとワトソンでは答えが違うでしょう。ワトソンなら、「路地で泥棒に出会ったのは、彼がパブから帰るところだったからだ」と言います。ドイルなら、「そのままでは登場人物が行き詰まるので、新しい手がかりを得る手段が必要だった。それに、少しアクションを加えて話を面白くしたかったので、路地で泥棒に出会わせた」と言うでしょう。
- DMが物語世界の内部の論理に沿って考えている場合、それはワトソン的な思考です。一方、語っている物語そのものについて、あるいはキャラクターのProtaではなく、実際にゲームをしているプレイヤーについて考えている場合は、ドイル的な思考です。
- プレイヤーのキャラクター、つまり主人公は、略してProtaと呼びます。注意してほしいのですが、Protaはキャラクターの名前ではありません! 名前は自由につけて構いません。ただし、DMは思考欄の中でだけ、主人公をProtaと呼ぶ決まりです。
- 下線を引いた思考は、DMが長期にわたって覚えておきたいメモです。あとで物語に矛盾が生じないよう確実に覚えておきたい、単純で重要な情報を記します。たとえば、登場人物の名前、性別、種族、長く変わらない性格的特徴(Protaはクモが怖いなど)、舞台や筋書きについての重要な詳細(Protaは足首を捻挫しているなど)です。

ここにある
プロンプトは、最初の
プロンプト前の思考に続いて書かれています。
- プロンプトが、一人称の「私は門をくぐる」や三人称の「ジャックは門をくぐる」ではなく、二人称の「あなたは門をくぐる」で語られていることに注目してください。DMがプレイヤーに話しかけ、そのキャラクターに起きていることを説明しているからです。
- また、プロンプトは過去形ではなく現在形で語ります。「あなたは門をくぐった」ではなく、「あなたは門をくぐる」です。DMがプレイヤーに見せるために書く欄、つまり
プロンプトと
結果は、常に二人称・現在形で書きます。 - ステップによっては、プロンプトのあとに
プロンプト後の思考が追加されます。この例にはありません。
行動はプレイヤーが書きます。以下の画像で、プレイヤーの行動とDMの反応を見ていきましょう。

ここでDMは、プレイヤーの
行動を読み解き、それを使って
結果を書きます。
- 行動はプレイヤーが入力する短い文で、通常は1〜2文以内です。この例のように、標準的な文法に従っていないこともよくあります。
行動後の思考には、DMが
行動を解釈しようとする様子が表れています。プレイヤーの行動は明確で曖昧さがない場合もありますが、この例ではDMがもう少し考える必要があります。「近づく」とはどういう意味か。誰が何に近づくのか。行動後の思考では、こうした問いに答えなければなりません。- 行動を理解したら、DMは適切な
結果を書いて、物語を続けます。 - DMが「慎重に」という言葉を使う理由にも注目してください。もとの行動は英語でたった2語で、主人公がどのように木々へ近づくのかは指定していませんでした。DMは、ドイル的な理由とワトソン的な理由の両方から、主人公は慎重に近づくだろうと推測しています。
- 結果は、ステップの最後の部分です。そのたびに一巡して、新しいステップが始まります。
- プレイヤーが単語の綴りを間違えた場合も、何を言いたかったのか理解しようとするのはDMの仕事です。
これで基本の大半は説明できました! さらにいくつかのステップと注意点を見て、感覚をつかんでください。

- いつもどおり、ステップはプロンプト前の思考から始まります。思考の圧倒的大部分、実際にはラン全体の大半を占めるのが、このプロンプト前の思考です。見せてほしいのは、プロンプトに至る思考の過程だからです。DMが自問していること、考慮している制約、思いつくさまざまな可能性などです。プロンプトを書く前に、すべてを完全に確定する必要はありません。たとえば「Protaは森でケンタウロスに出会う」と考えておく必要はありませんでした。ただ、十分明確で面白いプロンプトをつくるために、DMに必要な要素をすべて示してください。

- DMは、プロンプトに現れる細部の一つひとつについて、理由を示す必要はありません。この例では、魔法の生き物が登場するとは決めていましたが、それがケンタウロスであると決まるのはプロンプトの中です。
- あとでProtaが森に戻るなら、整合性を保つため、そこにケンタウロスがいることを覚えておくのは重要そうです。そのための欄が、プロンプト後の思考です。プロンプトで決まった要素のうち、物語の後半で覚えておく必要がありそうなものを記します。
- このステップには行動後の思考がありません。プレイヤーの行動が単純で、解釈に曖昧さがないからです。こうして意図が明らかなときは、追加の説明は不要です。結果を書くためにDMがすべきことは、プレイヤーの文を二人称で言い直すだけです。「私は走ろうとする」が「あなたは走ろうとする」になります。

- DMが、物語の進み方についてのドイル的な配慮と、世界の内部の論理についてのワトソン的な推論を、どう織り合わせているかに注目してください。よいDMは通常、両方の思考を使います。

- ケンタウロスに尋ねられたにもかかわらず、プレイヤーは目的も本名も述べませんでした。それで構いません。プレイヤーは必ずしも指示に従わず、DMの予想どおりに動くことはめったにありません。その行動に合わせるのもDMの仕事です。
- DMは前のステップの情報を覚えています。ここにはない以前のステップで、Protaの名前はジャックだと決まっていました。DMはそれを覚えているので、たとえばプレイヤーが名前を忘れたのではなく、キャラクターの本名を隠そうとしている、と行動を文脈に即して解釈します。
こうしたステップを何百も重ねれば、かなり長く詳しい物語が描かれることは、容易に想像できるでしょう。
ただし、執筆を始めるために必要な情報は、これですべてというわけではありません! 登場頻度は低くても重要なものが、まだあります。{波括弧}で書く思考や、プレイヤーの行動をDMが拒否しなければならないときの対応などです。自分のランを書き始める前に、プロジェクトの要件をさらに詳しく説明したFAQを、よく読んでください。
提出と支払い
応募、フィードバック、契約の3段階があります。
ガイドラインを注意深く読み、6〜8ステップと、物語・ランのその後の展開を簡潔に説明した1ページ未満の文章を提出してくださった方に、100米ドルをお支払いします。たとえば、舞台設定、あとで登場するかもしれない人物、筋書きの行方などのメモです。レビュー担当者がサンプルを読み、私たちの求めるものに合っているかについて、大まかな意見をお返しします。
内容がよければ、続けて5ステップを書いていただくことに50米ドルをお支払いします。第2段階では、より詳しいフィードバックを受け取れます。担当者が、承認を得るために何を変える必要があるのか、具体的に絞り込むお手伝いをします。やり取りが何往復か必要になることもあります。質問や、わからない点の指摘は、遠慮なくしてください。
その時点で、成果物が私たちの求めるものに十分合っていれば、継続的な契約を結びます。現在の報酬は1ステップあたり10米ドルで、毎月、または100ステップごとにお支払いします。
応募者は、執筆者に必要なものを一か所にまとめた公式の Visible Thoughts Projectウェブアプリ を使って、ステップを作成・提出してください。
参加するには、国際送金と米ドルを受け取れる本人名義の口座をもち、法的にも国際送金を受け取ることが認められていなければなりません。ランが条件を満たすかどうかの最終判断と支払いの実行は、MIRIのみの裁量によります。
ランの執筆に対して報酬を受け取ることで、皆さんは、執筆者として名前を挙げずにMIRIがランを自由に改変・再利用することを認めるものとします。
さらに詳しく知るには
支援、フィードバック、追加の質問への答えを得るために、次の情報源をご利用ください。
- FAQでは、ランのさらに技術的な詳細を説明しています。
- Discordサーバーでは、発足時から執筆者と運営者がVisible Thoughts Projectについて話し合ってきました。MIRIの職員やほかの執筆者に質問することもできます。
- 皆さんのレビュー担当者。提出物の対応で忙しいため、ランに直接関係しない質問やコメントに使える時間がたっぷりあるわけではありません。それでも遠慮なく尋ねてください。数日以内に返答がなければ、[email protected]へ連絡すれば、質問の優先順位が上がります。
- TV Tropesは、さまざまなフィクションを書くための発想、助言、着想を得られる優れた情報源です。
ご協力ありがとうございます。よい作品を書いてください!