Yudkowsky Sequences 日本語訳
非公式日本語訳 — 原著者・発行元による公式の翻訳ではありません

Eliezer Yudkowsky — 非公式日本語訳

愚かさを逆転しても知性にはならない

Reversed Stupidity Is Not Intelligence

「……そこで、その時間線にいたこちらの仲間たちが、是正措置に取りかかった。これだ」

彼は画面を消し、組み合わせを打ち込み始めた。謎の円盤を見たと主張する人々の証言が次々にページへ現れ、どの報告も前のものより奇想天外だった。

「標準的な揉み消しの技法だ」とヴァーカン・ヴァルはにやりと笑った。「『空飛ぶ円盤』について、私は少ししか話を聞かなかったし、どれも冗談だった。この文化水準では、明らかに偽りの話を十個、真実の話と並べて作れば、いつでも一つの真実の話の信用を落とせる」

パイパーの指摘には一理ある。個人的には、この辺りに、隠れるのが下手な異星人がはびこっているとは思わない。だが私が信じない理由は、空飛ぶ円盤カルトの、ひどく恥ずかしい非合理性とは何の関係もない——少なくとも、そうであってほしい。

あなたも私も、空飛ぶ円盤が一切存在しないのに、空飛ぶ円盤カルトが生じたと信じている。人間の愚かさのおかげで、ほとんどどんな思想の周りにもカルトは生じうる。この愚かさは、異星人の介入とは直交して働く。空飛ぶ円盤が存在してもしなくても、空飛ぶ円盤カルトが現れると予期する。隠れるのが下手な異星人が本当にいても、空飛ぶ円盤カルトが生じる可能性が低くなることはない。隠れるのが下手な異星人が意図的に空飛ぶ円盤カルトを抑圧する、と仮定しないかぎり、条件つき確率P(カルト|異星人)は、P(カルト|¬異星人)より小さくない。ベイズ的な証拠の定義によれば、「空飛ぶ円盤カルトが存在する」という観察は、空飛ぶ円盤の存在に反する証拠ではない。どちらの方向にも、大した証拠ではない。

これは、ロバート・パーシグが述べる一般原則の応用である。「世界一の愚か者が、太陽が照っていると言ったとしても、それで外が暗くなるわけではない」。2

はい・いいえで答える問いに99.99%の割合で間違う人を知っていれば、答えを逆にするだけで99.99%の正確さを得られる。それほど確実に逆相関するためだけに、その人は現実と絡み合った良い証拠を得て、その証拠を首尾一貫して処理する作業をすべて行わなければならない。それほど愚かであるためには、超知能でなければならない。

壊れたエンジンの自動車は、エンジンが本当に本当に壊れていても、時速二百マイルで後ろ向きには走れない。

愚かさでさえ真実と確実には逆相関しないなら、人間の邪悪さが真実と逆相関することなど、なおさら少ないはずではないか? ハロー効果の逆は角効果である。知覚された否定的な性質はすべて相関する。スターリンが邪悪なら、彼の言うことは何もかも偽りであるはずだ。まさかスターリンに同意したくはないだろう?

スターリンは、2 + 2 = 4だとも信じていた。だがスターリンが述べた文を一つでも擁護すれば、それが「2 + 2 = 4」でさえ、人々には、あなたが「スターリンに同意している」としか見えない。あなたは彼の側に違いない。

この原則から導かれる系は、次のとおりである。

ヘンリー・ビーム・パイパー「警察作戦」『Astounding Science Fiction』(1948年7月)。

ロバート・M・パーシグ『禅とオートバイ修理技術——価値の探究』初版(New York: Morrow, 1974)。