米国民は本当にデータセンターが嫌いだ
原題: "The American People Really Hate Data Centers" 著者: Zvi Mowshowitz 初出: Don't Worry About the Vase、2026年8月24日
データセンターと、それをめぐる政治には、少なくとも5つの異なる中心的な問いがある。
- データセンターについて人々が挙げる具体的な懸念は、どのような点で妥当か。
- 生成AIについて人々が挙げる具体的な懸念は、どのような点で妥当か。
- 一般に、データセンターをもっと建てるのはよい考えか。
- 米国で、よりよい方法でデータセンターをもっと建てる、あるいは減らすには、どうすればよいか。
- なぜ米国民は、データセンターをますます、本当に、本当に嫌うようになっているのか。
この記事は5番目の問いに焦点を当てる。特に有名なJasmine Sunのロードトリップなど、この話題を扱う一連の記事の最新版である。
最初の4つの問いは、主な対象ではない。
目次
- 米国民は本当にデータセンターが嫌いだ。
- 送電線は対照群である。
- 主張:データセンター嫌いの主因は、AI、テック企業、巨額の資金、建設への嫌悪と不信である。
- いや、AI全般についての発信が主因ではない。
- いや、大半は工作活動ではない。
- いや、贅沢な信念やモラルパニックではない。
- 多くの人は、本当にAIを止めたい。
- 他の多くの人は、テックや権力者全般にノーを突きつけている。
- 地元住民は、建設が生む利益に重く課税する権利があると感じている。
- 秘密保持契約のような愚かな失策は逆効果だ。
- 人々は建設や、新しい技術の建設を好まない。
- 実際の物理的な懸念はどうなのか。
- データを集める場所を見つけよう。
米国民は本当にデータセンターが嫌いだ
データセンターへの支持は、落ち込み続けている。米国人は本当に、本当にデータセンターが嫌いだ。経済的な便益があるにもかかわらず、75%が地元での開発に反対する。
Cremieuxが示すように、この反対の大半は、データセンターの具体的な便益や費用を論じても解消しない。信じてもらえないし、信じてもらえても気にされない。本当の異議はそこではなかったからだ。説得によって支持を数ポイント買えるが、反対の水準は、以前より非常に高くなっている。
支持率が今や石炭火力発電所を大きく下回ることを考えると、これは明らかに、地域への物理的な影響が主な問題ではない。石炭火力は、周辺の死亡率を大きく上げるほど悪いものなのに、である。
<strong>図版4の訳注:</strong>「次の種類の施設を、住む場所の近くに建設することに賛成ですか、反対ですか?」。2025年8月の調査。凡例は左から、強く賛成、やや賛成、わからない、やや反対、強く反対。太陽光発電は31/28/16/8/17%、天然ガスは27/29/22/12/10%、風力は26/25/16/9/23%、地熱は23/25/40/6/6%、原子力は21/23/22/11/23%。炭素除去は20/22/89/7/12%と原図に表示されているが、「わからない」の89は他の数値と合計が整合しない。原図の表記を保持した。蓄電池は16/24/30/11/19%、水素は16/25/43/8/9%、送電線は11/24/31/17/17%、石炭は12/18/22/14/34%。出典:Heatmap Pro / Embold Research。
送電線は対照群である
送電線は単純によいもので、欠点はほぼゼロである。
石炭火力は地球を熱くするだけでなく、周囲の人々を毒する。それなのに、送電線への世論が驚くほど近いのは、おかしい。こちらは間違いなく、単純なモラルパニックだ。
送電線への広範な反対と、政治家が恥ずかしげもなく便乗する姿を見れば、この多くが、種類や場所を問わず、とにかく新しいものを建てることへの反対だとわかる。特に、技術的な基盤を支えるものに何となく見えるものがそうだ。そして人々は、それを起こさせないため、譲歩を引き出すため、あるいは両方のために、実体のない懸念を作り出す。
主張:データセンター嫌いの主因は、AI、テック企業、巨額の資金、建設への嫌悪と不信である
これが私の中心的なモデルだ。
データセンターの建設には、次のものが組み合わさっている。
- AI。
- 巨大テック企業。
- 他人がデータを持つこと。特に自分についてのデータを。
- 巨額の資金。
- ものを建てること。特に醜いものを。
- それほど多くの雇用を生まないこと。
人々はこの6つを嫌い、信用しない。だから、データセンターが嫌いなのだ。
さらに、具体的な懸念より抽象的な議論を受け入れるよう求められている。存亡リスクなどについての状況とは逆だ。
残りは、よく言うように、すべて注釈である。人々が飛びつく対象にすぎない。
これらを嫌う理由は、細部では間違っていることが多いが、非常によく理解できる。
なぜ反対がこれほど急速に増えているのか。この1年で何が変わったのか。
私の答えは、主に、流れに乗る効果、選好の連鎖、注目度の上昇である。そこに、AIがはるかに目につくようになり、雇用市場を含む世界に影響し始めたことと、はるかに多くのデータセンターを建てようとする動きが重なった。建設の拡大は、より受け入れ意欲の低い地域へ企業が進出することを強いている。
いや、AI全般についての発信が主因ではない
AIへの嫌悪と不信を、発信の失敗のせいにしようとする人は多い。AI研究所のトップは、もっと頻繁に嘘をつくべきだったと言う。製品が人々の仕事を奪うと言うべきではなかったし、まして、全員を殺すことはないと言うべきだった、と。
もちろん、すべてをマーケティングの失敗のせいにする同じ人々は、ひどいマーケティングだと言っているその主張も、マーケティングのつもりでされたと、大体は考えている。すべてがマーケティングで、すべてが雰囲気であり、現実はどうでもよいと思っているのだ。
間違っている。人々は、根底の現実について、しっかり気づいている。とりわけ、自分や知人に影響する身近な現実についてそうだ。経験的な観察と第一原理からの推論を使い、互いの雰囲気も感じ取っている。適切な言葉でこの過程を意図的に方向づけることは可能だが、見た目よりずっと難しい。
これは、AIが嫌いで、しかも「コンピューター屋が嫌い」だからだ。そして、権力者も嫌いなのだ。
- 雇用を心配するのは、AIに明らかにできることや、人々のAIへの備えと反応を見れば、仕事を心配するのが理にかなっているからだ。
- 人類が取って代わられたり、消滅させられたりすることを恐れるのは、より賢い人工の知性を作るとき、心配するのが明白なことだからだ。そうした知性についてのあらゆる物語や思考実験が示している。もっと詳しい技術的な懸念に踏み込む必要すらない。
- 自分たちの文化や大切なものが消し去られることを恐れるのは、以前にも見たし、今もある意味で、再び起きているのが見えるからだ。
- 巨大テック企業と巨額の資金には空約束があふれ、何か裏があると恐れるのは、普通の人の視点から見える、これまでのすべての歴史のためだ。経済学を知らないし、昔から知らなかった。だが、こうした建設を認める地域が、「正当な取り分」をだまし取られているように見える場合が多いことには気づいている。そうでない場合もあるが。
- 建設を恐れ、相対的な立場を気にする。豊かさを求める自由至上主義者ではない。
人々のテックへの懸念は、しばしば、ごく基本的なところから来ているのだ。
PoIiMath:データセンターへの反対は、AIそのものというより、おばあちゃんが二要素認証を理解できないとか、街中の駐車料金を払うのに携帯電話が必要だとか、そういうことへの反応だと思う。
懸念の水準としては、そのくらいで正しそうだ。ただし、若者のほうが高齢者よりデータセンターに反対しているので、主に技術に不慣れだからではない。
AIについてのCEOたちの発信が、それほど重要だったとは思わない。Dario Amodeiが誰で、何を言っているかなど、誰も知らない。Sam Altmanは知っているかもしれないが、印象は主に他のものに基づいて形成される。
だから、Murphy上院議員の次のような一撃は、うまい言い回しだが、人々がそれを「ただ」信じているとは思わない。人は「ただ」そうするわけではない。
Chris Murphy上院議員(民主党・コネチカット州):どうだろうね……AI業界は基本的に、雇用を大規模に破壊し、依存性のある製品で子どもたちを毒すると約束してきた。人々は、ただそれを信じているだけのように思える。
さまざまな水準での発信が助けになっていないのは確かだし、特にデータセンターについての発信は悪く、状況を悪化させていると思う。それでも、主な問題ではない。
範囲を広げすぎたくはない。この件は近く別の記事で扱うつもりだ。だが簡単に言えば、「恐怖はすべてマーケティングだ」という理論は、明白な戯言である。まさに要点は、マーケティングとしては最悪を通り越しているのに、それでも言うことだ。だから、研究所やCEOをまったく信用しないとしても――それは非常にもっともだが――、こうしたことを言う理由は、本人が信じており、この場合には役に立とうとしているからである。知らせてくれた範囲では、それは彼らの功績だ。
逆に、マーケティングを気にして言うのをやめ、嘘をついた範囲では、特に偽りの安心を与えた範囲では、それは彼らの落ち度だ。
それでも人々は、事実ではなくメッセージの問題だと捉えようとし続ける。
Daniel:反データセンター運動は、その製品の最良のシナリオは全員を解雇することだと、幹部が公言している業界に対して、文字どおり想像できる最も合理的な反応だ。これがわからないなら、脳が末期のテック腐れを起こしている。
Michael Druggan:最良のシナリオは、自動化が途方もない豊かさを生み、全員が贅沢に暮らせて、誰も働く必要がなくなるから、全員が解雇されるというものだ。
それは、極めてよい最良のシナリオである。
Daniel:社会の権力関係を鋭く理解し、この世界で自分が持つ唯一のカードは労働力だと知っている人々に、それを言ってみろ。
PoIiMath:はいはい、解雇されれば豊かになる。今年AIのせいで解雇された17万人のテック労働者に、そう言ってみろ。みんな豊かさの海で泳いでいるよ。
ここのDrugganは、売り込み方という点では、いつも以上にひどい。だが問題は売り込みではない。
いや、大半は工作活動ではない
次のような論理は、一般にも、特にこの件でも、よくない。
Paul Graham:中国政府に十分な組織力があれば、米国のデータセンター反対運動に資金を出しているだろう。だが中国政府は非常に組織立っている。したがって、おそらくすでに出している。
中国政府は、他のどの政府、大きな集団、そして個人とも同じように、組織がどれほど整っていても、しょっちゅう愚かな行動上の間違いを犯す。やるべきことをしない、膨大な不作為の誤りは言うまでもない。ライバルや敵は最良の機会を利用している、あるいは自分がたまたま気づいたよい機会は、すべて利用しているはずだ、という議論は、範囲の限られた文字どおりのゲーム以外では、基本的に正しくない。
世界は、突然ある一人が最適に行動し始める「合理主義小説」ではない。それが特殊なフィクションの一ジャンルなのには理由がある。すべてが変わるからだ。しかも、その場合でさえ、たいてい一人だけである。
また、私が中国なら、データセンター反対運動には資金を出さないだろう。その金は必要とされていないし、やっていると知られる不利益が大きすぎるからだ。
いや、贅沢な信念やモラルパニックではない
贅沢な信念やモラルパニックがよくあることは、間違いなく信じている。
だが、ここで起きていることの中心は、それではない。
Sam Lyman:「データセンターを禁止せよ!」は、現在のモラルパニックにおける「警察予算を削れ!」だ。実際に実施すれば、国に破滅的な二次的影響をもたらす、贅沢な信念に基づく政策案である。好きでも嫌いでも、世界経済全体はこの施設で動いている。
Garry Tan:言いたくはないが、贅沢な信念の産業複合体は、今も健在だ。
Erik Telford:[水使用量への懸念は偽物だという]投稿をしたら、大勢から「AIは使わないし、欲しくもない」と言われる……経済への参加を完全にやめない限り、日常生活が無数の形でAIに支えられていると、わかっていないようだ。
人々は、データセンターがAIを動かすと理解している。だから反対しているのだ。
AIが「経済によい」ことも理解している。だが、抽象的な経済は気にしない。身近な自分の経験を気にし、自分の将来を恐れている。
贅沢な信念とは、欠点を意図的に見ようとせず、その信念をシグナルや相対的地位を得るために使うことである。ここでは、どちらも当てはまらないと思う。
モラルパニックとは、何かの危険に、正当化できず、不釣り合いなほど執着することだ。特に、存在しないものや極端にまれなものへの執着で、振り返ればかなりばかげていたと思うようなものをいう。
とりわけデータセンターの水使用量は、典型的なモラルパニックである。だが、それは症状だ。性や宗教をめぐる絶え間ないモラルパニックが、今日のものも含め、症状であるのと同じだ。
全員がデータセンターを禁止した場合の、経済、戦略、サービスへの影響を、彼らはすべて理解しているか。していない。だが、意図的に目をつぶっているわけではないし、よく考えても、それで構わないと思う場合が多いだろう。
多くの人は、本当にAIを止めたい
dan:キャピトルの人々は、反AIの人たちについて、頭の中のモデルが貧弱だ。読み取る水準を間違えている。
……推論がお粗末でも、本当に正しい標的はわかっているし、そこを焼き払おうとしている。宇宙や船上、最高度の警備を備え、自ら主権を持ち、自ら防衛する、手出しできない地域に建てるしかなくなる。
そのとき、あなたたちはAIを持ち、彼らは持たない。
――
少し立ち止まって考え、人々が何を伝えようとしているのか、耳を傾けるべきではないか。
Judd Rosenblatt:データセンター反対派についての、かなり興味深い見方だ。
「推論はひどくても、実際に息の根を止められる唯一のものについては、正しく見抜いた……これは、推論以前の何らかの直感を示している」。
他の多くの人は、テックや権力者全般にノーを突きつけている
民主主義や公の行動は、たいてい、いささか大ざっぱに働く。
状況の進み方に不満なら、ノーと言う。ろくでなしどもを追い出す。権力者や巨大テック企業が望むものに反対する、などだ。詳細な帰結主義の議論を評価することが中心ではない。先ほど述べたように、テックへの懸念はしばしば、ごく基本的なところから来る。
Zac Hill:データセンターをめぐる争いとAIの関係は、せいぜい間接的だと思う。理由はいくつかある。まず、米国人の70%がデータセンターの建設拡大に反対するという、先ほど引用した同じGallup報告は、反対のうちAI関連の懸念によるものは最大41%、AI自体への否定的な見方に直接関わるものは14%にすぎないことを示唆している。
人々は、自分がなぜ反対しているのかをわかっていないと思う。こうした分解には注意を促したい。
データセンター以外ではAIの争点としての注目度は低いのに、データセンターの注目度は高い、という議論はわかる。私が思うに、それは、データセンターが、反対して行動したり何かできたりすると期待できる、物理的な存在だからだ。それによって目立つ。大部分はAIへの反対が燃料になっており、さらに他の要素が組み合わさっている。
同様にZac Hillは、同じ投稿で、1965年の「国立データセンター」構想をめぐる過去の反発を挙げる。
Zac Hill:プライバシー研究者Arthur R. Millerは、この60年間の不安を、直近60日間に発表されたどんな文章よりもうまく説明する一節を残した。国立データセンター構想は、「コンピューター革命が生んだ漠然とした不満の避雷針」だった、と彼は観察した。
そのとおり。コンピューター自体は、そうした避雷針や怒りの対象に、直接はならなかった。一方、不吉な名前を持つ中央の集積施設は、普段は注目度の低いものを体現した。人々は突然、自分たちに「ノーと言う権利」があると感じた。それは他の場所の、他のデータ源にも広がった。
もうひとつの共通点は、人々が基本的に一般原則として、データの収集、保存、利用に不安を感じることだ。当時の反対を動かしていたのはそれであり、この疑心暗鬼は今も残る。自分の特定のデータがAI訓練に使われることや、どこかのサーバーに置かれることなどについて、人々はしばしば、一見ばかげたほど取り乱す。
これは、説明すれば解消できると期待できるものではない。輪郭のない恐怖の化身になれば、支持はほとんど絶望的になり、何を言っても信じてもらえない。
地元住民は、建設が生む利益に重く課税する権利があると感じている
地元住民は、自分たちが主な受益者でないか、少なくとも多額の見返りを受け、重要な利害関係者として扱われなければ、だまされ、以前より悪くなったと感じる。
これほど多額の、ゆすりのような金を払う必要があることに、多くの人が驚いている。
この多くは、倫理のコペンハーゲン解釈である。建設を始めた途端、地域社会と関わっていると見られる。そして権力者として、住民より恵まれた立場にいるのだから、「もっとやらない」ことを含め、すべてについて非難に値することになる。
客観的に以前より豊かになっていても、そうだ。気にしないことも多いし、あなたを信用せず、信じないこともある。あるいは、絶対的な水準より相対的な豊かさを、以前よりいっそう考えるようになる。一部には、今後さまざまな形で損をさせられると予想しているので、そのすべてへの補償が必要だという事情もある。
データセンターでは、直接「雇用を創出」する規模が十分でないので、これが特に悪くなる。もちろん、その金を使って「雇用を創出」することはできる。
初期のデータセンター事業は、地域にうまく貢献することも多かったが、そうでないことも多かった。住民は、自分たちにふさわしいと感じる配慮が得られていないことに気づいている。あなたが、彼らにそれを得る資格があると思うかどうかは別だ。
大幅な税収増など、結果がすばらしい場合もある。だが地元住民は、銀行に金が入るのを見るまで、基本的に信じない。
だまされ、約束は守られないと予想していることを、忘れてはいけない。
また、彼らは本当には「お金を信じて」おらず、お金が代替可能だとも考えない。課税の形が金銭であることを、常に望むわけでもない。たとえば、こうだ。
PoliMath:テック企業は、ウィスコンシンの町の外にデータセンターを建てるために100億ドルを使うが、少年野球チームのスポンサーにはならない。地元のガールスカウトを支援しない。公園を作らない。
実際には、やっている。MetaとGoogleには、そうしたプログラムがある。MetaはMount Pleasantで実施している。1ドル当たり、あるいは1平方フィート当たりでは、地元企業ほどしない。だが、それは達成不可能な基準だ。
これは、相手をすでによそ者の集団だと決めつけた人が言う種類のことだ。まったく別の理由で拒んでいる相手に言うようなことなのである。地元の細かなことで、やっていないことは必ずある。チームを支援すれば、パレードにいなかったと言われる。パレードにいれば、公園を作らなかったと文句を言う。それには実際、何の筋も通っていないのに。あるいは、やり方が悪い、空気を読めていないと言われる。まったく別のことに話を移す場合もある。
Jasmine Sunの記録を読むと、いつも純粋に「この建物と提案を、自分はどう思うか」という話である。
データセンターの本当の発信上の問題は、建てようとする過程や政治家から生じた。そして、住民から見て、エリートが約束を破ってきた幅広い歴史からも生じた。
これは避けられない政治だ。へたに行われている。あるいは、地元の利己的な視点からはうまく行われているが、後の展開を悪くするようなやり方なのかもしれない。ただ、その多くは、状況が難しいためでもある。
彼らが欲しいのが、広く、深く、継続的で、きめ細かな「敬意」の、高くつくシグナルなら、それを届けるのは途方もなく高い。得られないだろう。人に課税したいなら、税率を定める必要がある。
PoliMath:逆に言えば、データセンター反対派が、建設許可と引き換えに、どんな変更なら受け入れるのかすら示せないなら、どんな妥協もできない。本当に望むものが敬意を持って扱われることなら、得られないかもしれない。敬意は、そもそも交渉のテーブルにないかもしれない。
その場合、敬意も得られず、税収増という付随的な便益も得られない場所に行き着く。
起きることは、金を求めるべきだとわかっている場所にデータセンターが集まり、その場所が大金を得る、ということだろう。
PoliMath:テック界隈の多くが、何ならうまくいくかを探ろうとしているのは立派だ。だが残念ながら、戦略の大半は、反対派は愚かで、金と権力と、自分たちが内陸部の田舎者よりはるかに賢いという事実で、巧みに出し抜けると前提している。まさにその態度が、交渉を無意味にする。
「権力と金で、この人たちを出し抜ける」について言えば、内陸部の人々をどれほど怒らせようと、たいていは、大体そのとおりなのである。ただ、注目すべき珍しい例外に、近づいている可能性はある。
秘密保持契約のような愚かな失策は逆効果だ
他の場合には、政府関係者に秘密保持契約を結ばせるような、自分から犯す必要のない失策がある。人々に、汚職が絡んでいると思わせる。
だが、人々が怒るために飛びついた対象を、愚かだったと責める傾向もある。本当の原因は、少しでも怪しいものに片っ端から飛びつかせる不信なのに。秘密保持契約が問題になるのは、信頼を失ったからである。
人々は建設や、新しい技術の建設を好まない
住宅のようなものについてでさえ、建設を受け入れてもらうという巨大なYIMBYの課題を抱えている。
Matthew Yglesias:最も需要のある土地に中層集合住宅を建てること、場合によっては小さな敷地に一戸建てを建てるだけでも違法な世界で、人々がデータセンターに反対するようになっても、驚くことではない。
野心的なムーンショット計画に人々が反対してきた歴史もある。そして、そう、文字どおり月を目指すものも含む。アポロ計画は当時人気がなかったことを、私たちは忘れがちだ。
悔しいことだが、まだ、それほど大きく関係していないと思うのが存亡リスクだ。要因のひとつだとは思うが、あるべき大きさには達していない。
Cassie Pritchard:AIを作っている人々自身が、AGI/ASI/RSIを作りたいと思いながら、「そう、全員を殺す確率が5〜40%ある」と言い続けている。
それはアポロ計画と同じ話ではない。民主的な関与、減速、一時停止、禁止を望むのは、完全に合理的だ。
人々が金の無駄だと見て、「月の上の白人」などと言っていたアポロだけではない。すばらしい売り文句にも、同じことが起きた。
Seth Burn:夜の明かりは、かなりよい売り文句だった。アルゴリズムがあなたの仕事を奪い、地球上の全生命を終わらせるかもしれない、というのは、少し工夫が要りそうだ。
nicole ruiz:1937年、連邦政府は、電気はよいものだと地方の米国人を説得するため、ポスターキャンペーンを行った。人々は鉄塔に抗議していた。@mattyj612と私は、この争いがデータセンターへの反発について何を示すか話した。
電化は、明白によいものの極致のようなものだ。一方、今日では、全国規模の理論的な数字はよくても、地元住民は風力発電所のようなものにさえ、しばしば反対する。それや他の計画を受け入れるために「買収」されたくない。そして、論じて賛成に導くより、反対に導くほうが、はるかに簡単だ。
技術の影響についてなら、実質的に史上最高のものと言えるインターネットを、人々がどう見ているかを、もっと考えてほしい。
Cassie Pritchard:インターネットとの比較も適切だが、むしろためらいを正当化する意味でそうだ。インターネット基盤と巨大テック企業は、大部分が民主的な関与や監督なしに拡大した。今も規制が非常に不足した分野である。その結果、人々が毎日感じる無数の負の社会的外部性――注意の植民地化、社会的孤立、プライバシーの侵食、分極化や社会的結束の喪失など――と、従業員が比較的少ない、ごく少数の企業への富と権力の巨大な集中が生まれた。
民衆の関与なしに世界を急変させ、人々が複雑な思いを抱いている業界に対し、「待てよ、全人類代替機械を作るための白紙委任状を、また渡すのはやめよう」と思うのは、完全に理にかなっている。
「全人類代替機械」の側面は、大きな役割を果たしていると思う。ただし、より大きいのは、まさしく雇用への影響という意味においてだ。
実際の物理的な懸念はどうなのか
電力、景観、騒音、不動産価値には、本当の懸念がある。水など他のものにも、具体的で物理的だが、大半は実態のない懸念がある。特に水についての主張は、誤りだと指摘しても、なかなか消えないことで悪名高い。
「本当の」懸念の多くは、事実として的外れか、人々の扱い方よりはるかに小さな問題だ。悪い印象と過去の実績のために生じ、強調されてきた。人々がどう語るかを読むと、懸念はたいてい、論理的に筋が通らない。
人々は反対したく、何か裏があるはずだと思う。だから、理由に飛びつく。
実態があろうとなかろうと、動機づけられた懸念であろうとなかろうと、直接対処すべきだ。場合によっては、対処とは、その懸念に実態がないと指摘することを意味する。
他の場合には、本当の修正が必要だ。電気料金は固定する必要がある。景観と騒音は、技術や工夫の問題だ。不動産価値は、正当だと思うかどうかにかかわらず、たとえば売却価格を保証するプットオプションなどを通じて、損失を補填する必要があるかもしれない。他にもある。
だからといって、どれかが大きな効果を持つわけではない。
Jasmine Sun:<strong>話を聞いていると、データセンターの合意内容の技術的な部分は、大体どうでもよいのではないかと思えてくる。</strong>閉ループの冷却システム? 「信じない」。何百万ドルもの納税? 「信じない」。1,000人の雇用創出? 「信じない」。どの主張にも、反射的な懐疑が返ってくる。
ここでは、これ以上細部には立ち入らない。それも別の記事になるからだ。
データを集める場所を見つけよう
この記事は、現状を記述するつもりで書いた。提案できる、すばらしい解決策はない。
私は明確に、「米国にもっとデータセンターがあるほうがよい」という陣営にいる。チップの経済的価値は非常に高く、物理的な懸念は、完全な作り話でない場合でも、十分に解決できるからだ。そして、ここにチップを置かなければ、誰かが他のどこかに置くことになる。それは、より悪い。
この反対がチップを海外へ押し出すことに成功している範囲では、非常に悪い。ノーと言う場所を迂回することはできるが、限界がある。国内の設置場所がないことは、UAEやサウジアラビアのような場所に、膨大な数のチップを置くことの正当化に使われてきた。そのほうが、はるかに悪い。これが私たちに深刻なしっぺ返しをもたらす世界は、想像に難くない。存亡に関わるほどのものまで含む。
私が尊敬する人々の中にも、AIの存亡リスクを非常に心配し、この力学を違うふうに見て、反データセンター運動はよいことで、支援したいと考える人がいる。理由はわかる。だが、彼ら自身の目的に照らしても、間違っていると思う。米国内の建設を止める力学は、全体の建設を減らすのではなく、他の場所へ移すと考えるからだ。
これらの問題を解決するのは簡単ではない。一度起きた損害を修復するより、そもそも信頼を失わず、こうしたパニックを起こさないほうが、ずっと簡単だ。ここでの政治は、たやすく暴走列車になりうる。
だが、実務や政治の面で少しずつ前進する方法も、たくさんある。その多くは、比較的容易に手をつけられるものだ。見ていこう。
クレジット
- 原著者: Zvi Mowshowitz
- 掲載元: Don't Worry About the Vase(原文はこちら)
- 原文公開日: 2026年8月24日
- 翻訳: AGI Hub
- 日本語化した図版は原図に基づく翻訳・再作成です。図版4は原図を保持し、日本語訳注に原図の数値上の不整合を明示しています。



